うたっているヒマはなし 八丈島 シゴトウタナミ

むかしの仕事のなかで唄われていた「しごとうた」。
現在は唄われていない唄の数々を掘り起こして
子どもから大人までが楽しめる音楽作品としてよみがえらせるため、
各地を歩いて工房を訪ね、むかしの仕事を体験している太鼓唄 七海。
そんななかで出会った沢山の人々。
たくさんの日本の美しいもの。

わたしが今、手がけている「はたおり唄」のかけごえは、
「ドンターコーリャー」で始まります。

このはたおり唄、もう4年くらい
この「ドンターコーリャー」で止まったままです。

むかしは大勢で仕事をしていたことから、
この仕事唄の作品づくりに専門的に関わってくれるメンバーたちが
いるのですが、彼らもこの
「ドンターコーリャー」を100回くらい唱え続ける練習を
たびたび重ねてきたけれど…。

それでも、どうしても分からない。
この唄をいったい、誰がどの段階で唄っていたのか、
何人で唄っていたのか、どのような作業をしながら唄ってたのか。
まったくイメージがわかないと
新しくよみがえらせることができないのが私。

そこで、この唄が採譜された場所や、
近隣の工房を訪ね、
出雲や岡山、博多の工房にも足を運ぶ機会を頂いたのですが、
それはまた別の機会に。

今日は、八丈島に足を運んだ時に出会った黄八丈ゆめ工房さんでのお話。
その前に…
こちらは、Facebookでもご紹介した
八丈太鼓加茂川会の皆さん方と、
前列の中央に座っていらっしゃる方が喜田孝さん。

後列の一番左の長山さんが、八丈島や
いろいろな八丈太鼓の打ち手の皆さんに声をかけて、
案内をして下さいました。

さて、「八丈太鼓」のお話はまた改めてさせて頂くとして、
写真前列の一番左に写っている私の着ているのが
黄八丈(きはちじょう)。

黄八丈は、八丈島に伝わる草木染めの絹織物。
着てみると思ったより軽くて薄いのにふんわりと温か。

こちらは、「樫立踊り」と「八丈太鼓」の実演が行われていた服部屋敷にて。
こんなふうに、黄八丈を着こなして太鼓を打っていらしたのは、
八丈島・樫立踊り保存会の結城さん。

さて、織物を見ると、もう私の頭のなかは、
「はたおり唄」のことでいっぱいになってしまいます。

そこで、訪れたのが、こちら黄八丈ゆめ工房さん。
お店の玄関をくぐるとすぐに、店内でも
はたおりの様子を見ることができます。

若い人達にいろいろ教えていらした山下さんに
さっそく、お話を伺いました。

八丈島では、むかし、
日本在来の山繭(やままゆ)から得た糸を使っていたらしく
しばし、蚕について教えて頂きました。

「仕事唄」というのは、「しごと」そのもので、
その作業が、どの段階で行われていたか、を知るためには、
その前後の作業やら原料やらいろんなことを知ることが大事なんだな、
というのが、今までの旅のなかで常に感じたことなので、
できるかぎり自分でイメージできるまで
詳しくお話を聞いたり調べたりします。

ちなみに、黄八丈は、黄・樺・黒の3色で染め上げられているとのこと。

黄染めは天日干しした「コブナ草」、
樺染めはタブの樹皮、
黒染めはシイの樹皮。

なんだか懐かしい色合いなのは、兵庫県の「丹波布」も
こぶな草を使っているからなのでしょうか。
さてさて、肝心の「はたおり」のうた。

「いやー、聞いたことがないですね」と
どこでも言われながら、しつこく聞く私に
山下さんは、奥に行って先代に
むかしの様子を聞いて来て下さいました。

結果は、「うたっているひまはない」。

はてさて、このうたは、いったい、誰がどこで、いつ、
唄っていたのやら。
今日もナゾが深まるばかりの旅なのでした。

私にいろいろなお話を教えて下さったみなさま、
ありがとうございました。

つづく…